世界の終わりのためのミステリ
さて、本日紹介するのは、逸木裕先生の「世界の終わりのためのミステリ」です。
まず、タイトルがキャッチーですよね。
「世界の終わりのためのミステリ」――どういうことなのか、気になってしまいますよね。
ワードセンスが秀逸です。
ただ、何と言っても逸木裕先生の作品の魅力は、設定の作り込みなのではないでしょうか??
デビュー作の「虹を待つ彼女」を紹介したときも、その辺りについて書いています。
『虹を待つ彼女』さて、本日ご紹介する本は、逸木裕先生の「虹を待つ彼女」。あらすじを書こうと思ったのですが、PV映像がめちゃくちゃ良かったので、そちらを貼っておきます。正直、こ…[image error]ameblo.jp

どう凄いのかは、あらすじを読んでもらえれば分かると思います。
人間の意識を半永久的に持続可能な人工身体にコピーしたヒューマノイド=〈カティス〉が生まれた近未来。
〈カティス〉の女性・ミチが目覚めると、世界から人類は消失していた。
搭載された〈安全機構〉により自殺はできず、誰もいない世界で孤独な時間を生き続けることに絶望していた彼女は、少年の姿をした〈カティス〉のアミと出会う。
〈人類消失の謎〉の解決を目指すと語る彼に誘われ、ミチは失われた人間の頃の記憶と永遠に続く時間を生き続ける意味を探す旅を始める――。
(オフィシャルサイトより)
これまで、ヒューマノイドを扱った作品は数ありますが、だいたいAIが搭載されていて、人類と対立したりする設定になりがちです。
しかし、本作に登場するヒューマノイドであるカティスは、人間のコピーであり、元(オリジン)となった人間の記憶や感情を保持していて自我があります。
中身は人間だけれど、身体の構造が異なる――といった感じでしょうか。
そして、人類は既に消失していて、世界にはカティスしか残っていない。
オリジンである人類が消えてしまった世界の中で、カティスたちは、長い年月を生きなければならない。
この設定が生み出す空気感は、空虚でありながら、美しく、そして何処か温かい――。
他の作品では、決して味わうことのできない、独特の世界観を創造しています。
ずっと、この世界に浸っていたい――と思ってしまうほどです。
「虹を待つ彼女」にしてもそうですが、テクノロジーを絡めた独自の世界観を描くことに関して、本当に卓越した才能を持っているだと思います。
膨大な知識を持っているだけでなく、それを独自の解釈で展開できる想像力があってこそです。
さらに、その世界観を単なる舞台装置として使うのではなく、ミステリと融合させているところが、本当に凄い!!
ネタバレになるので、詳しく書くことは出来ないが、ミチとアミが旅の中で様々な事情を抱えたカティスたちと出会い、紡がれていく物語は、この世界観の中でしか成立しない深みを持っている。
それだけでなく、謎を解き開かしたときに浮き彫りになる心情が、切なくも温かい。
私個人的には、三話目の話が突き刺さりました。
いや、分かるよ。
本当にそうだよね。
と何度も頷きながらも、自分だったら、どんな選択をするだろう? と考えずにはいられませんでした。
中には、SFが苦手だ――という方もいらっしゃるかもしれませんが、逸木裕先生は、特異な設定を、すんなりと読者の頭の中に馴染ませる技術が凄いので、安心して読んで下さい。
興味が湧いた方は是非!!
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