にはろくな灯りもない。幕に覆われたかのような暗さだ。 「気配で分かるもんだな」ベンチで隣に座る河原崎さんが、ぽつりと言った。 動物たちのことだ。なきごえがするわけでも、足音が鳴るわけでもなかったが、同じ空間に彼らがいるのは分かった。呼吸する音、鼓動の音、もしくは毛づくろいをし、姿勢を変え、羽を畳む音、そのうちのどれ、とは特定できないが、私たちの皮膚を揺らす気配がそこら中にあった。 「ああ、いますね」私はうなずく。 「あそこを見ろよ」 河原崎さんが突然、人差し指を出し、斜め先に向けた。私は首を伸ばし、目を細める。人がうつ伏せで、倒れていた。いつからそこにいたのだろうか。さ

