Erika2,840 reviews90 followersFollowFollowMay 19, 2024古本を見つけ、図書館で検索して一緒に借りてきた「きみがいた時間 ぼくのいく時間-タイムトラベル・ロマンスの奇跡-」を先に読んで「あぁ、またよくある感じの『男性が書いた女性を救う系のタイムトラベルもの』で新鮮味無いから、こっちは途中でDNFしよう」と思って読み始めた。(読まずに返そうかと思ったが↑の登場人物たちの名前が見えたのでとりあえず読み始めてみた)...結果、読んでみてよかった!確かに、タイムトラベルの恋愛ものにありがちな、「よく知らない相手の為に人生を捧げる」系の話という側面もある。特に一番初めの「吹原和彦の軌跡」はまさに私が「またかよ」と言いたくなる感じの物語。「布川輝良の軌跡」も、insta loveが過ぎて気持ち悪い。(やっぱ男性が描くタイムトラベル恋愛ものって無理に感じる。会ったばっかの男性にここまで惹かれるか?自分の1991年での人間関係や人生を全て断ち切ってまで追いかけるほど?)が、母との確執を描いた「栗塚哲矢の軌跡」は、響くものがあったし(ただし、母親と息子でよかったかも。これが父親と娘だったら、「都合のいいような綺麗事にするな」とイラつきそう)、「鈴谷樹里の軌跡」は、医者の女性が主人公でかっこよかったし、最後も気持ちよくハッピーエンド(ただし、これ登場人物の性別逆だったらげんなりしそう...)。「きみがいた時間 ぼくのいく時間」は、既に出てきていた登場人物達の事を再確認できたし(初読の時にも、全てのキャラが印象的だったのは何故だろう。それぞれのキャラの冒険を読んだ後この短編を読むと、全て意味が分かって楽しい。特にクロノス・ジョウンターが二回目に無断で使われたシーン。はじめに読んだ時は何とも思わなかったが、吸原の話を読んだ後だと「なるほどー」となる)、そして、最後の描きおろしの「野方耕市の軌跡」は、全ての物語の最後に相応しい、綺麗な終わり方で、しまりがいい。それぞれの短編で使われるタイムマシン「クロノス・ジョウンター」の技術がちょっとずつ進歩していて制約が違うのも面白いし、隣の課で開発されてた別系統のタイムマシンもちゃんと活躍するのもいい。「過去に戻る」というよくあるテーマだし、過去に戻ってもずーっと居続けるのには弊害がある...という縛りで、よくここまで色々物語を紡げるな、と脱帽。また、他の物語が進行してる途中にも、前に読んだ物語が現在進行形で進行していたり、まだある出来事が起きていなかったり、必ずしもまっすぐとした時系列じゃないのも萌える。(特に一話目は結構時間を飛び越えるので、他の短編にちらっと登場するのを見つけるのが楽しい)正直、はじめの3話ではまだ星3.5くらいだったけど、「鈴谷樹里の軌跡」が良かったし(体内に注入した未来の薬のせいで未来に飛ばされるとは。そして結果「憧れのお兄ちゃん」とほぼ同年代になれるとか!)、「野方耕市の軌跡」の2056年という舞台が連作短編集のサンドイッチとして気持ちのいい役割だったので、星4つに。あ、それと、私が借りたバージョンは佐竹美穂が表紙のイラストを描いているのも嬉しい!(ソノラマノベルス ISBN: 9784022738257)...いま気づいたが、朝日新聞社が出版。だから「朝日楼旅館」とか「アサヒ第一ビジネスホテル」だったのかな。science-fiction short-stories time-travel