Erika2,840 reviews88 followersFollowFollowJune 12, 2020畑野智美作品、連続で3作目。今回も、登場人物たちが変に薄っぺらくなく、話が進むにしたがって厚みが感じられた。(いや、違うか、主人公の「杉本君」への考えがちょっとずつ変わってっただけか。)主人公は作中6/22に35歳の誕生日を迎える。私も今年35になった。そして、主人公が高校時代の仲間と会っても、主人公以外全員が既婚者子持ちで、話がつまらない、もしくは「早くどうにかしなよ」と善意の説教をされる、というのも共感できた。(ただし、私の場合は既婚者子持ちでも、「妻・母」以外で自分を定義しているような友人が多いので、話の内容が全て家族の話でつまらない、とはならない。まぁそれぞれ旦那の愚痴や子供の話もするけれど。本作のはじめの方で登場する「勝ち組」の友人たちと違い、私の友人たちは「私」という人間を尊重してくれている気がする。だから変に「普通・常識」を押し付けて来ようとしない。ミーハーな知り合い(友人と知り合いの間くらいの関係の同級生達)は、本作の「勝ち組」と同じ感じ。でも彼らだって独身なんだけどなぁ。あぁ愚痴愚痴。)「いき遅れ女」が主人公の話は、「社会の理想とする女性像に疑問を呈する」みたいな話か、慌てて結婚相手を探すのをおもしろおかしく描く自虐的コメディーものが多い気がする。最近読んだ中で思いつくのは、前者だとコンビニ人間 Konbini ningen 、後者はマリッジ:インポッシブル(←著者は男性だけど。)けれど、本作は、「普通ってなんだろう」という疑問とか、「男女平等」という事に焦点を当てている気がする。例えば男性が一回り年下の女性と付き合うのはOKなのに、女性が一回り年下の男性と付き合うのはNGな雰囲気、男性が求める「普通の女性」とは何か、わかりやすい線引きやカテゴライズで思考を停止してないか、会社や社会の中で男性に求められている事と女性に求められているものの違い、等々、うまくまとめられないけれど、社会で生きていく上で漠然と感じていた違和感を、主人公が言語化していく様はとても共感した。(そしてやっぱり年齢が近いし、私も独身一人暮らし、という要素も大きいかも。)キャラやストーリーだけ考えると、民法の安っぽいドラマにある、「年下のイケメン?同い年の地味メン?それとも元彼が忘れられない?」みたいな、ラブコメにされそうだけれど、前述の要素のおかげで、飽きなかった。キャラとしては、「モデルばりのスタイルで帰国子女のイケメン」杉本君が可愛い。(もはやおばさん目線)。はじめは「何でもかんでも自己主張しまくってうるさいし無神経だしセクハラ」と思ってたけれど、ちょっとずつ彼の性格も見えてきて(というか、主人公が彼のことをちゃんと理解しようという気になってきて)、最後のハグが可愛くて可愛くて。これだけでも絵柄的にドラマか映画かアニメに向いてそう、と思ってしまう。それと、これを読んでいて、大学生の時に母親を亡くした友人のことを想った。彼女の父親は彼女が小さい時に出ていき、「次消息を聞くときは、どこかでのたれ死んだって連絡かも」と言っていた。彼女も、この主人公のように一人ぼっちに感じる瞬間があるんだろう。(生命保険の下りはまんまだった)あと、別の友人も「出て行った父親がFacebookで"友達かも"に出てきた。ウケる」と言ってたな…ここまで「気に入った!良かった!」と言いつつも星3つなのは、1:的確な日本社会のひずみの描写だったけれど(しかも「コンビニ人間」的に拒絶反応を示したくなる描写でもない)、特に新しいとも感じなかった2:羽鳥先生いや、物語的にはハッピーエンドを匂わせて終わり、という方法は嫌いではないけれど、そして羽鳥先生のオタクで純粋なキャラも嫌いではないけれど、でもここまでリアリスティックな描写だったのに、「札幌の転勤先に押しかける」「自分でも気づかないうちに、僕の生活は変わっていたんです。そして、僕が変わるためには、葛城さんが必要なんです。」って、ちょっと怖くないか?例えちょっと好きだなと思ってる相手でも、こういうのめり込むタイプは付き合ったら大変なんじゃないだろうか…??うーん。3:(これは内容には直接関係ないけれど…)帯のセリフ考えた人、この本ちゃんと読んだのかね、と思ってしまった:「大人になったら、片想いはしないと思ってた」「ときめく気持ちを取り戻す恋愛小説」「30代半ば、カフェで副店長をしているメイ。彼氏も好きな人もいないが、それなりに充実した日々を送っている。でも、結婚や出産、仕事の昇進試験から目をそらし続けてはいけないのもわかっていて−−人生の基本問題は解けても応用問題が解けないメイを、恋が大きく変えていく!」←違わね?この話のメインは「恋」じゃない気がする。でも、じゃあメインはなんだろう…ただ漫然と生きていくんじゃなくて、ゴールを持とう?いや、なんか違うな…じゃ、帯が言う通り、恋愛小説なんだろうか、これ。…そうか、題名の「大人になったら、」がヒントだ!「大人になったら、普通に結婚して普通に出産して、と言う人生を送ると思ってた主人公が、色々あって社会の「普通」と女性の立場について考える」話だ!east-asian